ただ本を読みながら生きているだけだった

「読書の日記」を読んだ。著者の阿久津隆さんは初台でfuzkueと言う本を読む店をやっている人で、こんなに厚いの読み通せるかなとおもったけれど、ぐいぐい読み進んでしまった。書評のような日記のようなビジネス書のような東京シティ・ガイドのようでもある…

であればこそどんな風に生きていけばいいのだろう?

松家仁之さんと出会ったのは、「火山のふもとで」だった。そうか僕はこんな世界が好きだったのだと気がつかせてくれたのが松家仁之さんだった。松家さんの世界はひとことで言えば透明で静かなのだ。「火山のふもとで」は浅間山麓の夏が舞台でなんとも清々し…

心の渇きは、なまの言葉では癒されません

カミング アウト したいと思う、手紙病であったこと。 2015年4月28日 今日の言葉より 「 国際電話やファクスの時代を経て今や電子メールにやり取りが成り立つ世界になお船便や航空便を支持する者がいるとしたら、そのひとりに数えていいだろう杉本氏(杉本秀…

こんな特別な一日が訪れるのだから

こんな老後が待っているかなぁ? 2015年4月19日 「1921年に二十の岡崎みち子さんはいま八十七歳。まだどこかで元気に暮らしていればいいと思う。私はその八十七歳の老女とともに「ヘンリ・ライクロフトの私記」を読み返す。彼女がうかべる微笑を想像すると、…

でも思った、これほどの本にしてようやく

最近、みじかにいる人が一冊の本を出した。あぁ、君はそんなことを考えていたんだと初めて気がついた。あらためて本の持つ意味について考えている。 2017年3月26日きのうお客さんがあった。こんど、なんかやりましょうというお話であった。やりましょうとい…

生まれて初めて、とてもしっくりする世界に出会えたような気がした。まわりにつらなる風景のやわらかさ、しごとというもののあるべき姿、いとおしく思える道具たち、そして人を好きになるということの持つ静かさなどについて。松家さんの新しい本、光の犬も…

目があった時にはびっくりした

室生犀星が「庭をつくる人」なんていう本を書いているなんてずっと知らなかった。本屋さんの棚で目があった時にはびっくりした。 2016年3月11日 基本的に訳もなく小さなものが好きだ。車も家も店も会社も町も。それでここのところおもしろいなぁと思うのは小…

例えば右と左に分かれる道があって

「パイロット・フィッシュ」大崎善生著を読んだ。10年ほど本箱の隅でずっと埃をかぶっていて、昨年夏の大掃除でようやく発掘された。いつもレモン色のワンピースを着ている由希子さんと、いいやつだけれど由希子さんに「人生の方向音痴」と呼ばれてしまう山…

ポテトのカセロール、アンソニィ風

伊丹十三が僕に教えてくれたのは「ポテトのカセロール、アンソニィ風」であった。簡単で美味しくておしゃれで、ひとりふぅふぅ言って食べていた。 2012年2月24日伊丹十三、宮本信子夫妻のことを語る番組があった。明日も続く。伊丹と言うと、我々にとっては…

遅いながらも気がついてよかった

この頃から、小説って面白いなぁと思うようにようやくなってきた。何事も気がつくのがとても遅い。遅いながらも気がついてよかった。 2012年2月23日「小さなおうち」を読み終わった。小説ってこんなに静かなんだ、こんなにたくさんのことを語るんだ、街のこ…

山の手の赤い屋根のおうちが主役だ

昭和初期の東京の家やまちが魅力的に描かれている。どこで間違えてしまったのだろう。 2012年2月22日「小さいおうち」中島京子著を読んでいる。東京のまちが、山の手の赤い屋根のおうちが主役だ、昭和の初めの家とまちと暮らしと。まち文学、おうち文学と言…

やっぱり頼もしいなぁと思う

この面構え、やっぱり頼もしいなぁと思う。もうすっかり内容など覚えていないのだけれど、僕たちの拠って立つところってこれしかないと思う。 2012年2月17日 引き続き、こんな本も出て来て、昔の本というのはほんとうに頼もしい顔をしている。造園学などと言…

そんなことあるもんかと思っていたけれど

今日はポカポカとして気持ちがいい。そんなことを考えていたら、ここのところ読んでいた保坂さんの本のことを思い出した。悲しいとか楽しいとかというのは、個人の閉じた世界の中で起こっていることじゃなくて、世界全体が悲しいから悲しいのであって、世界…

なじむほど時間は親しいものになります

う~ん、やっぱり吉田さんがいいわ。とっても粋なのにそれでいて、気持ちいいくらい筋が通ってる。脱帽! 2016年2月19日 今日は、うらうらとしたいいお天気で、だから考えることもそんな日らしいことであればいいなと思っていたら、この間ロス・パペロテスで…

「この人たち好きだな」という感情は

春はまだまだ遠いし、なんだか色々うまくいかなくて、ついに昨日は早い時間から布団をかぶっていたけれど、布団の隙間から読んでいたのがこの本で、えっ1105ページ、こんな厚い本、本というより箱みたいな本読めないよ思っていたけれど、これがとてもよくて…

そうは言っても吉田さん

一時この吉田健一節を強く信奉していたのだけれど。でもでもでもと思って数年経って、今はもうという立場になっている。なんだかつまらないことだなと思いつつも。 2012年2月2日一段落したので、というかしなくても、最近は、夕方になるともうしごとなんかや…

ウィリアム・モリスってこういう人だったんだ

これだと思う。これこそが誰も知らないけれど「ウィリアム・モリス」の「ウィリアム・モリス」たる所以だと思う。その人らしさというのはこういうなんでもないことに現れるのだと思う。 2017年1月31日 ウィリアム・モリスのことを時々知りたくなる。だからむ…

ぼくのおじいさん遍歴

「ぼくのおじいさん遍歴は植草甚一、田中小実昌、永井荷風ときて,今また急に吉田健一さんがあらわれて」そして今もまだ吉田健一さんが続いてる。このまま健一さんイノチが全うできればいいなぁと思う。 2014年1月28日久しぶりに吉田健一さんを読んで,いい…

「肩組もうか」って、いいよねと

川上未映子さんの「あこがれ」を読んだ。川上さんは変てこな人で風変わりな人で、そこが好きなのだけれど、書くものはまっすぐで気持ちがいい。この物語は夏彦くんとヘガティーという小学生の男の子と女の子の話で、というと初恋だの友情だのの話かなと思う…