好きに成ってしまったのだから仕方がない、ただそれだけ

やっぱり、猪熊さんの描く絵は文子さんがいちばんだ。

2018年4月12日 
いのくまさんはいつも楽しそう。作る人は戦わなければとか、苦しまなくてはとか、そんなの?と思う人。楽しくて何が悪いといのくまさんは思うし、僕も思う。いのくまさんはどうしてこんなに人の心を軽くするのだろうと考えた。友達がいい、なにせ藤田嗣治だ、この人も変な人だ、でも素敵だ。そして文子さん、文子さんはどんな人だかわからない、でもいのくまさんは文子さんをいっぱい描いている。青いドレスの文子さん、赤いドレスの文子さん。文子さんが逝った後は、文子さんの顔ばかり描いている。よっぽど好きだったんだろう。文子さんとは一目惚れで結ばれたんだという。いのくまさんらしい。好きに成ってしまったのだから仕方がない、ただそれだけ。とってもさっぱりしている。友達だけじゃない、街もいのくまさんをしわわせにした。パリではピンクに塗られた壁の風変わりな部屋に住み、日本からパリに帰る途中にたまたま立ち寄ったN.Y.に一目惚れ、それから20年N.Y.いることになる。ここでも一目惚れだ。そして描くものに差別がない、猫であり、馬であり、 鳥であり、 文子さんであり、針金であり、道で拾ったゴミであり、腐ったリンゴだ。好きなものは好きなのだ。帰りに買った 「猪熊弦一郎のおもちゃ箱・やさしい線」にこんなことが書いてあった。「 画家は自分のすきなもの、愛しているものをよく絵に描くんです。愛しているところに美があるからなんです。愛情と美は、離れることができません。」 わぁ、いいこと言うなぁ 。好きだからしようがない、そんなことばかり言って過ごした90年の幸せな人生だった。

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